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BESOMによるグリッド細胞の再現

BESOMでグリッド細胞を再現しようという試みが少し進展。

ネズミの脳の嗅内皮質と呼ばれるところには、
グリッド細胞(grid cell)というとても不思議な神経細胞が発見されています。
ネズミがかごの中のある特定の位置に来たときに発火する細胞なのですが、
その発火する位置が、三角形の格子状になっている、というものです。

琉球大の大城先生と倉田先生たちは、
2つのSOMベクトル量子化で学習する2つの層をアンチヘブ側で学習する側抑制結合で結ぶことによって、
グリッド細胞と同様の格子点上の受容野を再現させています[1]。
私は、このモデルこそ、グリッド細胞ができる正しいメカニズムだろうと
今のところ思っています。
(他のモデルを詳しくサーベイしたわけではないですが・・・。)


ところで、BESOMは倉田先生の「SOMに側抑制ICAを入れる」という
アイデアを取り入れているので、
BESOMでもグリッド細胞が再現できるはずです。

実はいままで何度かトライしてうまくいっていなかったのですが、
さっき思いついたアイデアを試してみたら、少し進展しました。

入力には、1次元のパラメタで位置が決まる3つの点からなる画像を使います。
画像を生成するコードはこうです。

float x = Util.rand() * 0.6f + 0.2f;
vX[0] = 0.2f;
vY[0] = x;

vX[1] = 0.2f;
vY[1] = x + 0.08f;

vX[2] = 0.8f;
vY[2] = x;



これで生成される画像の例です。

入力画像の例



左側には点が2つ、右側には点が1つあるのですが、
画像をぼかして入力するので、左の2点はくっついて見えます。
これにより、左側には空間解像度が少し落ちた情報が入力される、
というところがミソです。

このような画像を3ユニットの2つのノードで学習させた結果、
得られた基底画像がこれです。

学習の結果得られた基底画像

一番上のユニットはこの実験では使っていません。
右側のノード(nH1)が、とびとびの受容野を獲得しています。
特に上から3番目のユニットは受容野が等間隔に3つに分かれており、
これはグリッド細胞の1次元版になっています。
(見栄えを良くするためにはまだまだ調整が必要ですが。)

いままでトライしてうまくいっていなかったのは、
「非線形ICAの解の一意性のなさ」が原因でした。
(当たり前といえば当たり前のことでした・・・。)
BESOMはモデルの表現力が高すぎるため、
獲得してほしい信号源に関するヒントをなんらかの形で
与える必要があります。

今回の実験では、空間解像度の低い画像と高い画像の2つを同時に与えることが、
グリッド細胞を発現させるために必要な「ヒント」だったようです。

ネズミが現在の自分の位置を知るための情報には、解像度の高い情報もあれば、
低い情報もあるはずなので、この「ヒント」は決して恣意的なものではなく、
むしろ妥当な実験条件ではないかと思います。


[1] Naoki Oshiro, Koji Kurata, Tetsuhiko Yamamoto
A self-organizing model of place cells with grid-structured receptive fields,
Artificial Life and Robotics, Vol.11, No.1, pp.48--51, 2007.
http://www.springerlink.com/content/35v03m7j464471n7/

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