スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

視覚野に「注意に相関するニューロン」が見つからない理由を考えてみた。

視覚野に「注意に相関するニューロン」が見つからない理由を考えてみました。

Y を観測データ X を認識結果だとします。
[Rao 2005] などのいくつかの論文は、
大脳皮質の認識はベイズの定理 P(X|Y)= αP(Y|X)P(X) を使って行われ、
X の事前分布 P(X) は注意に相当する、という解釈をとっており、
実際にそういう立場のモデルで注意に関する電気生理実験の結果を
うまく再現させています。

さて、そうだとすると、視覚野の領野の中で P(X) ニューロンが
見つかっていてもよさそうなものですが、そういう話は聞きませんよね?
P(X) ニューロンとはつまり、「視覚刺激がまったくなくても
内因性注意に相関して発火するニューロン」です。

この「注意に相関するニューロン」が見つからない理由を
考えてみたので、説明したいと思います。


[Ichisugi 2007] では、確率伝播アルゴリズムが現実的な神経回路で
実現可能になるように、「メッセージに送信相手からの情報を含める」という
近似を行っています。
(私はその近似の妥当性をシミュレーションで確認していませんが、
[Litvak and Ullman 2009] は、いろいろと状況は違いますが、
同様の近似の妥当性をシミュレーションで確認しています。)
(2010-04-19 追記:
同様の近似をして導いた近似 belief revision は、シミュレーションで動作を確認しました。)


さて、この近似を行うと、上の領野 U から下の領野 X に送られる情報は、
P(X) ではなく P(U|Y) に変わります。
([Ichisugi 2007] の記法で書けば BEL(u) です。)
つまり、領野 U における視覚刺激に対する応答がそのまま領野 X に
送られます。
視覚刺激が与えられていない状況では上の領野 U も応答しませんから、
より上位の領野に内因性注意の情報があっても遮断され、
下位の領野には流れていかないことになります。

この状態で視覚刺激が入ってくるとどうなるかというと、
下位の領野から徐々に上の領野に視覚刺激の情報が伝わり、
内因性注意を表現する領野の1つ下の領野で初めて
「視覚刺激と注意の両方の影響を受けたニューロン応答」が生まれ、
それが下の領野に伝播していく、ということになります。

さて、視覚野のニューロン応答の時間変化は、はたしてこの仮説の予想どうりに
なっているでしょうか?
「Attention increases sensitivity of V4 neurons. [Neuron. 2000] - PubMed result」
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10896165
試しに上記論文を見てみたところ、 V4 ニューロンは、
視覚刺激が提示されてから 100msec までは注意のあるなしに関わらず
同じように応答が強くなっていき、 100msec を過ぎたあたりから
注意の影響が出てきています。
この振る舞いは、上の仮説と矛盾しないと言えるでしょう。


というわけで、注意のみに相関するニューロンは視覚野に
見つからなくて当然、というのが私のモデルからの予言です。
(見つかったら・・・。モデルの修正が必要ですね。)

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。