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何が分かれば脳が解明されたことになるのか

よく受ける質問に「何が分かれば脳が解明されたことになるのか」というのがあります。

それは目的によります。

脳の病気の治療を最終目標にしている人は、脳のどこにどういう異常が出るとどういう症状が出て、どういう対処をするとどういう効果とどういう副作用が生じるかを、既存の知識から正確に演繹できるようになることを目指して、脳の基礎研究をしているのだと思います。

私の場合は、知能の高いロボットの実現が目的なので、それが可能な程度までに、脳の情報処理の機構を理解しようとしています。

すると次に「では何ができれば知能の高いロボットが可能になるのですか。今までの情報処理技術でできなかったことは何ですか」と聞かれます。
実は、脳でなければできないと一般に思われている機能はすべて、定性的には既存の機械学習技術(自己組織化マップ、ベイジアンネット、独立成分分析、強化学習など)で実現されています。
(詳しくは「テクニカルレポート2008」の3章をご覧ください。)

残る問題は性能だけです。

現在実現されている機械学習技術は、性能において脳に圧倒的におよびません。
特殊な状況では機械の方が人間よりも高い性能を発揮しますが、知能の高いロボットの実現に必要なロバストなパターン認識、運動制御、自然言語理解などの分野では、現在の機械は人間のような性能を出せません。

この問題を解決する近道は、機械学習理論と神経科学の最新の知見を一通り踏まえたうえで、脳の情報処理原理を明らかにし、それを計算機上で再現してみることだと思います。
多くの研究者がこの考えに強く同意してくれているのですが、実際にそのアプローチで研究を始めようとする人は、まだ極めて少ないのが現状です。

今やりかけている仕事がひと区切りついたら、
来年度あたりから、本格的にこのアプローチの研究者を増やす努力を進めていきたいと思っています。

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