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「文の意味とは真偽を検証する制御プログラムである」という仮説

追記:下記の考察は、お茶の水大 戸次先生との議論に
多大な影響を受けています。


言語の意味とは何か。
言語の形式意味論において、
意味をプログラム(ラムダ式)の形で表現する方法がある。
しかし、具体的に何かをするプログラムというわけではなく、
論理式同様、宣言的知識を表現する手段としてラムダ式を用いているようである。

文の意味とは、その文の真偽を検証する行動を表現するプログラムであると
考えてみてはどうだろう。
ロボットが「教室に誰もいない」という命題の真偽を検証するためには、
教室をすみずみまで見渡せばよい。
この検証行為はロボットの制御プログラムとして書くことができる。
単純化して書けばこう。

for 場所 in 教室:
    if 誰かが見える return false
return true

この考え方で、 exist, all not, if を含む文の意味が
実世界にグラウンディングする!
過去形、未来形、さまざまな助動詞の意味も、
真偽を検証する制御プログラムの形で書くことができるだろう。
「この雨はいつか晴れる」という命題の真偽を検証するには、
近似的な検証ではあるが、

while not timeout:
    if 晴れている return true
return false

とでもすればよい。

命令系は、例えば「XXしなさい」の意味は
「XXすれば正の報酬が得られ、XXしなければ負の報酬が得られる」
と解釈すればよい。
「勉強しなさい」の意味の近似的な検証は、

勉強する; if ほめられた return true else false
  または
勉強しない; if しかられた return true else false

という制御プログラムで行える。

脳はさらにプログラム変換を行う能力を持っている。
「教室に誰もいない」を意味する制御プログラムに対してプログラム変換を施して、
「「教室に誰もいない」というのは間違いだ」という命題の真偽を検証する
制御プログラムとして

for 場所 in 教室:
    if 誰かが見える return true
return false

というものを脳は生成することができる。これが論理的推論。

具体的に脳は、どのような神経回路を使って論理的推論を実現するのか。
それはまさに今私が手を付け始めている研究テーマの1つ。
論理的推論を実行する制限付きベイジアンネットの回路を設計しようとしている。
このベイジアンネットは、推論の具体例の集合から公理を帰納推論する能力を
持つ予定である。帰納推論のための特別な機構の作り込みは一切なく、
EMアルゴリズムによるパラメタ推定をするだけで、
公理が自然に教師なし学習される、という構想。

このような研究に興味をお持ちの方はご連絡を・・・。

コメント

No title

高橋達二様:

なるほど、論理実証主義とつながるのですね。
ぜひまたいろいろ議論しましょう!

No title

面白いですね。
私も(確率)プログラムの獲得は鍵だと思っています。ベイズ派の認知科学も因果モデルでは不十分だということで確率プログラミングに枠組みを拡張しています。その場合のプログラムにはチューリング完全性まで必要なく、ある程度プログラム帰納に恣意性が制限できるかもしれません。
一杉さんの話は哲学だと論理実証主義の検証理論になるかと思います。

近いうちまた詳しい話をお聞きしたいです。

No title

コメントありがとうございます。
それらを参考にして、より実現性の高いモデルを検討し、またご相談に伺います。

No title

文法獲得は時系列学習、というのはその通りで、
エルマンネットというリカレントネットワークを使って古くから研究されています。

リカレントネットワークはある意味万能で、
計算機でできることは原理的にはなんでもできます。
そういう意味では、いまのニューラルネットの延長でAGIができることは
証明済みと言ってよいと、私は思います。

「ない」という概念の獲得は、一ひねりいると思います。
画像を見せて、誰もいない教室、タイヤのない車、窓のない家、などの
キャプションを、ぴったりの教師データなしで出せるシステムは
今の技術ではできなさそうに思います。
予測と観測との不一致点の検出の機構を持つ必要があります。

同様にして every, all, if, ... などの状況に対応する機構を
1つ1つ作り込むというアプローチもあるかもしれません。
でも私は、すべての概念の獲得が統一した機構で実現できる
エレガントな機構が脳の中にはあると思っています。

No title

回答ありがとうございます。
少し理解できたような気がします。

私は文の意味(理解)とは、ゆるい系列学習が必要ではないかと考えています。
「教室に誰もいない」という文は、「○ も い ない」という系列を学習し、○に入れられるのは、動物系の概念という制約(傾向)も学習し、動物系以外の場合は、「○ も ない」というような系列を学習します。さらに「△ に」という系列も学習し、△に入れられるのは、空間系の概念という制約も学習するのではないかと考えます。そしてその短い系列同士を繋げる系列の系列の学習と続いていくのかなと。
その短い系列「○もいない」「○もいる」「○もない」「○もいる」「△に」「△から」「△へ」「△で」・・・もなんらかのイメージ(あるいは状況)にグラウンディングしているのではないかと思います。

また発話は行動の一種と考えられ、脳内で「教室」「△に」「誰」「○もいない」が活性化した場合、正しい組み合わせ、正しい順番に言葉を出力するのではないかと考えます。

このように考えると、子どもの言語の発達も説明できるのではないかと期待し、私はグーグルのネコの拡張路線で検討してみます。

No title

コメントどうもありがとうございます!
言語獲得の基本的なイメージは、斎藤さんがおっしゃるような
かんじだと私も思っています。

しかし、 exist, all not, if などを含む文の意味はどうやって獲得できるのか、
ということを以前から戸次さんから指摘されていたので、
それに対する回答の第一歩のつもりでとりあえずブログに書きました。
まだ回答にはなっておらず、さらなる考察が必要です。

グーグルネコのように画像データをクラスタリングして
ネコの概念を獲得するのは容易だと思いますが、
exist, all not, if などの意味の獲得は
その延長ではできないように思われます。

「様々な行動プログラムとそれを実行した結果得られる外部の状況」を
入力に与えれば、これらの「概念」も獲得できるのではないか、
という着想です。

もう少し整理すると、記号創発ロボティックスの人たちにも
面白がってもらえる話になりそうです。

No title

文の意味の前に単語の意味がありますが、「教室に誰もいない」の場合、

「教室」という単語を理解するためには、それ以前に「教える」「教わる」「先生」「生徒」「部屋」などの意味を理解している必要があると思います。
それらの既知の単語のいくつかが同時に活性化しているタイミングで「教室」という単語が発せられることにより、
「教室」というシンボルに、(人それぞれ微妙に異なる)意味がグラウンディングされると考えます。

「誰」という単語を理解するためには、様々な人や物を既に知っており、そのうちイヌやネコやテーブルや椅子は関係せず人のみが対象であること、
また数の概念も既に獲得しており、0人の場合「誰もいない」、1人以上の場合「誰かいる」、しかしその誰かが知っている人の場合は、
「誰」とはいわずに「○○さんがいる」と使い分けるように、「知っている/知らない」という概念も持っている。

「知っている/知らない」という単語の意味(脳内プロセス)は、学習による獲得ではなく、先天的に備わっているのではないかと思います。
http://nouai.blog.fc2.com/blog-entry-113.html

私が予想している人工知能は、先天的に備わっていると思われる脳内プロセスはあらかじめ作り込んでおき、
その脳内プロセスとシンボルがグラウンディングできる仕組みも作りこむ必要もあると思います。

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