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人工知能とひらめき、直感、感性

ひらめき、直感、感性について、
脳を模倣した人工知能ではどのように実現されていくのでしょうか
というご質問をメールでいただいたので、お答えします。

・「ひらめき」について。

機械は本当に新しいことは何もできないのではないか、という主張に対し、
チューリングは「何ものも太陽の下に新しいものはない」という格言を
引き合いに出して、そもそも人間も本当に新しいことはできないのではないか、
と反論しています。
Computing Machinery and Intelligence (計算する機械と知性)

逆に言えば、人間程度の想像性であれば、機械でも実現可能だと思います。

人間が何かを「ひらめいた」と感じる瞬間は確かにありますが、
それは機械学習の用語で言えば「局所解からの脱出」が起きた瞬間ではないかと
私は思います。
わかりやすく言えば、先入観にとらわれた状態を脱し、
新たな視点で、それまで以上に正しくものを見ることができる状態へと
移行する瞬間が「ひらめき」ではないかと思います。

機械学習技術において「局所解からの脱出」を可能にする工夫は
たくさん知られており、それを積極的に取り込むことが
「ひらめき」を起こしやすい人工知能の実現につながると思います。

また、関連しそうな神経科学的現象としては知覚交替という現象に注目しています。
知覚交替とは、ルビンの壺のような多義図形をじっと眺めていると、
自然に見え方が切り替わるという現象です。
これは「ひらめき」を起こしやすくするために脳に作り込まれている
機構の1つかもしれない、と私は考えています。


・直感について。

直感的判断は、従来の記号処理技術では扱いにくいと思いますが、
ニューラルネットやベイジアンネットなどの統計的機械学習装置の振る舞いは、
直感そのものと言ってよいと思います。

記号処理による論理的判断力と、統計的機械学習による直感的判断力の2つを
どうやって1つの情報処理アーキテクチャに統合すればよいのかは、
今後の重要な研究テーマです。
脳はこの2つの統合の成功例であり、脳のアーキテクチャに学ぶのが
有望なアプローチであると私は考えています。


・感性について。

美しさ、心地よさなどの感性は結局は何らかの情動の機構が関係していると思います。
生物にとって情動とは、生物が子孫を確実に残すために作り込まれている機構です。

神経科学の分野では情動の機構は以前からそれなりに研究されてきています。
脳の中の扁桃体などが関与しています。

情動の機構に関する私の解釈は下記ページに簡単にまとめてあります。
感情や欲求の正体

ここに書いたような機構であれば、人工的な実現は可能です。
工学的に有用なロボットを実現するためには、
脳の振る舞いをヒントにしながら、
どのような情動を作り込めばよいのかを試行錯誤していくことが、
今後必要になってくると思います。
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